アカショウマ

ダイエット素材のアカショウマ

植物抽出エキスによる脂質消化酵素に対する阻害効果について

2006年7⽉24⽇

⽬的

脂質は重要な栄養素の⼀つであるが、過剰に摂取してしまうと、肥満・メタボリックシンドローム・⽣活習慣病・動脈硬化などの疾患を引き起こす原因となる。
このような疾患発症の予防・改善をサ ポートし得る⾷品素材の探索を⾏うために、種々の植物エキスを⽤いて、脂質の吸収抑制作⽤について消化酵素(リパーゼ)に対する酵素阻害作⽤の強さを指標に⽐較検討をした。

⽅法

1)リパーゼ活性に及ぼす影響
リパーゼ測定キット(⼤⽇本製薬(株))を⽤いて評価した。
サンプルと発⾊液、BSA(終濃度0.1 mg/ml)、リパーゼ酵素液 (終濃度0.63 U/ml)を混合し30℃、5分インキュベートした後に基質液を加え混合し、30℃、30分反応させた。反応停⽌液を加え混合した後、吸光度420nmを測定した。

2)トリプシン活性に及ぼす影響
サンプルとCasein溶液(終濃度6 mg/ml)を遠⼼管に加え、37℃、5分インキュベートした後、トリプシン溶液(終濃度0.2 mg/ml)を加え混合し、37℃、30分反応させた後、16%トリクロロ酢酸溶液を加え反応停⽌し、3000 rpmで10分遠⼼した上清に、ニンヒドリン、4M酢酸ナトリウム(pH5.5)を加え、100℃、10分加熱した後、室温に戻し570 nmの吸光度を測定した。

結果

1)リパーゼ活性に及ぼす影響
海藻ポリフェノールで最も強い酵素阻害作⽤が認められた。アカショウマエキス、オリーブ葉エキス、オレガノールは、ほぼ同じくらいの酵素阻害作⽤を⽰したが、この順で効果が少しずつ弱くなっていった。アカショウマエキスは4倍の濃度で海藻ポリフェノールとほぼ同等の酵素阻害作⽤が認められた。

2)トリプシン活性に及ぼす影響
ここで、これまで⾏った脂質消化酵素に対する阻害効果について、脂質阻害酵素のみを阻害するのかどうかについて、タンパク質分解酵素であるトリプシンを⽤いて試験を⾏った。
最も阻害活性の強かった海藻ポリフェノールにおいても500μ g/mlの濃度で30%程度の酵素阻害作⽤と弱い阻害効果しか認められなかったが、その中でも海藻ポリフェノールで最も強い阻害活性が認められた。この結果から、海藻ポリフェノールで脂質の吸収抑制のみならず、タンパク質の吸収も阻害される畏れが懸念された。
アカショウマエキス、⽣コーヒー⾖エキスは500μg/mlの濃度においてもトリプシン の酵素活性をまったく阻害しなかった。

まとめ

脂質は重要な栄養素であるが、過剰に摂取してしまうと肥満・メタボリックシンドローム・⽣活習慣病・動脈硬化などの原因となる。⽇本⼈はもともと、お⽶を中⼼とした糖質中⼼の⾷⽣活を⾏ってきたが、近年、⾷事の欧⽶化、外⾷産業の発達、コンビニ弁当の利⽤などに伴い、徐々に⾷事における脂質の摂取量が増加してきている。このような状況の中、脂質の吸収を軽減し得る⾷品素材の探索・検討を⾏った。 今回、⽐較検討を⾏った⾷品原料の中では、海藻ポリフェノール、次いでアカショウマエキス、オリーブ葉エキス、オレガノール抽出物に脂質消化酵素に対する強い阻害作⽤が認められ、これらがより少量で脂質の吸収を抑制することが期待された。 ⼀⽅で、タンパク質も重要な栄養素であり、特に肥満の改善においては、『低カロリー、⾼タンパク』つまり、脂質や糖質の摂取量を控えめにして、タンパク質を多めに摂取するように⼼がけることが求められる。しかしながら、海藻ポリフェノールなどには弱いながら、タンパク分解酵素であるトリプシンの酵素活性も阻害し、脂質のみならずタンパク質の吸収も阻害してしまう可能性か懸念され、⼀⽅で、アカショウマエキスに、より脂質分解酵素に対する特異性が⾼いように考えられた。